10月20日
本日の概要
PhillipsとThe Hour Glassが、George Danielsの時計22点をシンガポールに集める。2つのSpace Travellerが並んで展示されるのは今回が初めてだ。展覧会「George Daniels 100」は英国の時計師の生誕100年を記念するもので、11月12日から15日までIAMWATCHの会期中に開催される。
ニューヨークではWatchTime New Yorkが第11回を過去最多の来場者3000人で終えた。バーゼルでは新しい見本市Basiliaが、2027年4月に向けて目標出展者数の70%に相当する申し込みをすでに集めている。
新作では、H. Moser & Cie.が選手のSaquon Barkleyと共同で生み出したスケルトン仕様のトゥールビヨン搭載Pioneerを発表。Armin StromはMirrored Force Resonance Zeitgeist 1665にイエローゴールドトーンのムーブメントを与えた。
Phillips、生誕100年を迎えるGeorge Danielsの時計22点を集結

Phillips in Association with Bacs & RussoとThe Hour Glassは10月19日、展覧会「George Daniels 100 – The Genesis of Artisanal Watchmaking」を発表した。George Daniels(1926〜2011年)の時計22点、つまり英国の時計師が完成させた作品の大半を集めたもので、IAMWATCH 2026で公開される。独立系時計製作の祭典であるIAMWATCHは、11月12日から15日までシンガポールのホテル、The Singapore EDITIONで開かれ、一般公開日は11月13日、14日、15日である。
主催者によれば、この22点が一堂に会するのはほぼ20年ぶりだ。最大の見どころは、これまで並べて展示されたことのない1982年の2つのSpace Travellerの対面である。Danielsは1本目を完成直後に売却したが、それを悔やみ、2本目でアイデアをさらに発展させた。平均太陽時と恒星時の両方を計測できるクロノグラフを加えたのである。Space Traveller IIは、2011年に亡くなるまで彼自身の愛用の時計だった。
2つの時間尺度の差は小さいが、一定である。恒星に対する地球の自転で測る恒星日は約23時間56分4秒で、一般の時計が示す24時間の平均太陽日より4分近く短い。両方を表示する時計では、そのために計算された歯車比によって、恒星時の表示を太陽時よりわずかに速く進めなければならない。
Danielsは24本の懐中時計と2本の腕時計、Four-Minute TourbillonとSpring Case Tourbillonを製作し、その後、弟子のRoger W. SmithとともにMillenniumとAnniversaryのシリーズを手がけた。Phillipsによれば、1本の時計には2500時間以上の作業を要し、Danielsは時計を手作業で作るのに必要な34の技能のうち32を自ら修めていた。著書『Watchmaking』は、今も時計師の作業台に置かれる基本書である。
彼の最もよく知られた発明は、Omegaが採用したコーアクシャル脱進機だ。スイスレバー脱進機では、ガンギ車の歯がアンクルのツメ石の上を滑ることでインパルスが伝わる。コーアクシャル脱進機では、インパルスの大部分がほぼ直接的な押し出しによって伝えられ、滑りははるかに少ない。摩擦が減るため潤滑への依存が小さくなり、精度を長く保てる。それこそがDanielsの狙いだった。
展覧会では、独立系時計製作に対するDanielsの影響を描いたPhillips制作のドキュメンタリーの先行上映も行われる。マン島、イングランド、スイスで撮影され、George Daniels Educational Trustのインタビューやアーカイブ映像を収めている。上映は11月14日の予定だ。シンガポールの後、展覧会は2027年初めにロンドンのPhillipsへ巡回する。
詳しくはオークションハウスの公式サイトへ。
WatchTime New York、第11回を来場者3000人で閉幕

時計誌WatchTimeが主催する時計展は10月18日、マンハッタンのGotham Hallで3日間に過去最多の3000人を集めて閉幕した。第11回は過去最大の規模で、48ブランドが出展し、そのうち9ブランドが初出展だった。Jacob & Co.、Kollokium、Kudoke、Gérald Genta、Daniel Roth、Singer、Ferdinand Berthoud、Schwarz Etienne、Kerisである。
10月16日のオープニングナイトは満員となり、こちらも記録となる625人の招待客が集まった。プログラムにはコレクションをテーマにしたトークも組まれ、その一つでは俳優のRyan ReynoldsがMB&Fの創業者Maximilian Büsserと語り合った。
WatchTime New YorkはNew York Watch Weekの中心的なイベントである。Radarが10月16日に伝えたように、ニューヨークでは同じ週末に3つの時計展が開かれた。
詳しくは主催者の公式サイトへ。
Basilia、初開催に向けて目標出展者数の70%を確保

MCH GroupとInforma Marketsが立ち上げた宝飾・時計の新しい業界見本市、Basilia Jewellery & Watch Fairは、目標出展者数の70%に相当する申し込みをすでに受け付けた。第1回は2027年4月8日から11日までバーゼルで開催され、主催者は400社を超える出展を見込んでいる。
10月19日に公表された数字によれば、申込者の約75%は宝飾・宝石分野、残りは時計分野で、65%がアジア、35%がヨーロッパからの出展者である。独立系時計ブランドのためのEmerging Brands Districtが設けられ、新作発表のステージやプレス向けの支援が用意されるほか、バーゼル観光局との提携により2500室以上のホテル客室が確保されている。
国際見本市のバーゼル復帰には象徴的な意味がある。MCH Groupはかつて、2019年を最後に開催されなくなったBaselworldを主催していた。Basiliaはアジアとヨーロッパの市場をつなぐ架け橋を掲げ、高級、中価格帯、エントリーの各セグメントを対象とする。
詳しくは主催者の公式サイトへ。
H. Moser & Cie.、Saquon Barkleyとスケルトンのトゥールビヨン搭載Pioneerを製作

H. Moser & Cie.は10月19日、アメリカンフットボール選手と共同開発した97本限定のPioneer Cylindrical Tourbillon Skeleton Aventurine Saquon Barkleyを発表した。限定数はBarkleyの生年である1997年にちなむ。
スティールケースは直径42.8mm、120m防水。完全にスケルトン化された文字盤からムーブメントを見通すことができ、時・分はアベンチュリンの小さな文字盤で表示する。すべてのインデックスにSuper-LumiNovaが施されているが、2と6だけは別の色で光る。Barkleyがフィールドで背負う背番号26への目配せである。
自社製の自動巻きキャリバーHMC 811は、6時位置に1分間で1回転するフライングトゥールビヨンを備え、パワーリザーブは74時間。最大の特徴は、Moserと同じグループに属するPrecision Engineering AGが手作業で製作する円筒形ひげゼンマイである。一つの平面上に巻かれる平ひげと異なり、円筒形ひげゼンマイはらせん状に巻かれ、両端がブレゲひげの巻き上げ部のように内側へ曲げられている。この形状により、ひげゼンマイは重心をずらすことなく同心円状に伸縮し、振り角が変わっても同じ歩度を保つ能力、すなわち等時性を高める。
価格は7万9000スイスフラン(税別)。
詳しくはブランドの公式サイトへ。
Armin Strom、Zeitgeist 1665のムーブメントをイエローゴールドトーンに

Armin Stromは、2025年に発表したモデルのムーブメント仕上げを変えた25本限定のMirrored Force Resonance Zeitgeist 1665 3Nを発表した。地板とブリッジは3Nイエローゴールドトーンとなり、マット仕上げ、手作業で面取りと研磨を施したエッジ、黒鏡面仕上げのネジ、ペルラージュと円形のサテン仕上げで装飾された面を備える。
スティールケースは直径43mm、厚さ11.55mm。ポリッシュ仕上げの黒ラッカーによるチャプターリングが、文字盤側から見えるムーブメントの上に置かれ、時、オフセンターの分、2つの秒を表示する。10時位置のプッシャーでフライバック機能が作動し、2本の秒針を同時にゼロへ戻す。
自社製の手巻きキャリバーARF21-ZGは2つの独立した調速機構を持ち、それぞれのテンプが3.5Hz(毎時2万5200振動)で振動する。パワーリザーブは2つの香箱による80時間。2つのテンプは特許取得のレゾナンス・クラッチ・スプリングで結ばれている。近接する2つの振動子がこうした結合を通じてエネルギーをやり取りすると、逆位相で同期する傾向があり、衝撃や手首の動きによる乱れが部分的に打ち消し合うことで歩度が安定する。ブランドによれば、このスプリングは腕に着けた状態でも同期を連続的かつ予測可能に保つよう設計されている。
詳しくはブランドの公式サイトへ。
注目すべきこと
George Danielsの生誕100年は、今年のテーマの一つである。2つのSpace Travellerの再会は、IAMWATCHに美術館の展覧会のような重みを与え、独立系時計製作が、いま市場から認められている正統性をその原点に求めていることを示している。
ニューヨークとバーゼルの数字は同じ方向を指している。コレクターや独立系ブランドに近い時計展が成長する一方、Baselworldの終了後、見本市の暦は描き直されつつある。Basiliaが有名時計ブランドを引き寄せるのか、それとも現在の数字が示すように主に宝飾の見本市にとどまるのかは、今後を見守る必要がある。
新作では、MoserとArmin Stromは既存の土台の上に立っているが、円筒形ひげゼンマイとレゾナンス・クラッチはいまも珍しい技術であり、記念モデルであっても技術的な注目に値する。




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